次の日のこと、あたしは廊下をぱたぱたと走っていた。

先生に見つかったら注意されるだろうなとは思うけど、でもそれどころじゃないと慌てていたんだ。



「なんで提出しなきゃいけないプリントだけ忘れるかな〜っ」



3限目はレベルごとに別れた英語の授業。

あたしの属しているクラスでは今日は先週配られたプリントの提出を言われていたのに、よりによってそのプリントだけ教室に置いてきてしまった。



他のプリントなら1時間くらいいいか、と諦められるのになぁ、と顔をしかめる。



英語の先生は課題さえこなせば大丈夫。

それはつまり、課題を提出しなければ成績が下がるということ。

授業がはじまっちゃう! とあたしは急いでいた。



だけど教室に入ると、休憩時間の終わり際だというのになぜかそこには人影。

どうして? と驚いたあたしはその姿が誰かを認識するとさらに驚くことになった。



そこにいたのは、金井だったんだ。



まるで一昨日のあたしのように窓際に立っていて、あたしは廊下から教室に足を踏み入れて。

まさかあたしを待っていたわけではないだろうし、なにをしているのかなぁ、と首を傾げる。



そしてそっと彼の様子をうかがって、あたしは息をとめた。