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噎せ返るような熱気に包まれていたライブハウスから一歩出た途端、外は凍りつくような寒さだった。
人混みの中で慌ててコートを羽織ってから、人の波に逆らうようにしてライブハウスの裏手に回る。
街灯がポツンと寂しそうに一つだけ立っている薄暗い道を進んで、裏口の取っ手に手を掛けた途端、それが勢い良く内側に開いた。
「うわ、みか…お前来てたのか」
目の前に現れたのは、ついさっきライブを終えたばかりのレーくんだった。
レーくんは高校時代から軽音部に所属していて、その当時のメンバーと今もこうして小さなライブハウスなんかでたまにライブを行ったりしている。
職業はみんなばらばら。
ちなみにレーくんは自由気ままなフリーターだ。
そのおかげなのか、口の悪さも昔から何一つ変わっていない。
「シーくんに様子見てきてって頼まれた」
「は?もう24だってのに相変わらずだな兄貴も…」
「心配ばっかりかけてるからでしょ」
「そんなもん頼んだ覚えもねえけど」
「レーくんも相変わらずだね」
「お前は…可愛げがなくなったな」
真顔でしょーもないことを言うレーくんの弁慶に思いっきり爪先で蹴りを入れておいた。
「痛えだろうが!」と怒鳴りつけてきたけれど、昔からレーくんは素行が悪かったので今更怖さも感じない。