ふと気配を感じて振り返ると
彼女が舞子を見つめながら佇んでいた。
彼女がゆっくりと近づいてきたとき
舞子は彼女の正体を確かめることができた。
雪面に彼女の足跡がついていなかったのだ。

彼女は舞子に向かって
静かな口調で話し出した。
「私はここから飛び降りて自殺したけど、自殺しても居場所がなくて・・・」
「自殺しなければよかったとすごく後悔しています。」
「居場所って自分で作るものだということがわかったし・・・」
「私のことを大切に思ってくれた家族や友人がいたのに・・・」