正直
嬉しかった

人と話すのなんて
久しぶりだし
照れもあったけど
『南 恭子』の温かさが
身に染みた

「仕事は
 いつでもいいから
 復帰するまでの生活費も
 当面私が出してあげる
 でもその変わり
 復帰したら
 一生懸命働いてもらうわよ」

あたしは
黙っていた

「よし
 できた」

といって
彼女が
シチューを
皿に移して持ってきた

「冷めないうちにどうぞ
 冷蔵庫に
 ポテトサラダ作ってあるから
 お腹減ったら食べるのよ
 ふふっ
 こうみえて
 けっこう料理得意なんだから」

彼女は
ほほ笑んだ

「きつねとはっ……
 きつねとは
 どういう関係…なの」

あたしは
訊いた

彼女が
口を開くより先に
あたしは更に言葉をかぶせる

「付き合ってるの?
 恋人同士なわけ?
 ねぇ?」

どれくらい
あたしたちは
声をださなかっただろう

重い沈黙の中
南 恭子が
あたしの目をみながら
ゆっくりとうなずいた