おはようございますって
言葉と共に
入ってきたのは
庵 ねるだった

彼女は
ソファーにどっぷり坐る
あたしの顔をみると
もう一度挨拶をして
社長は、と尋ねてきた

「知らない
 あたしも待ってんだ」

「あ
 そうなんですか
 じゃあまた後で
 お邪魔します
 失礼しま───」

「ねぇっ」

彼女の
言葉が終わる前に
あたしは声をかぶせた

「庵 ねるちゃんだよね
 大物新人の」

軽く嫌味をのせていった

「え…」

「坐りなよ
 ちょっとお話しよ」

庵 ねるは
黙ってあたしの
指示に従うと
目の前のソファーに
浅く腰掛けた