上杉と出会って
一ヶ月が経ったある日

彼が電話で
逢いたいといってきた
あたしはスキップで
待ち合わせ場所に向かった

なぜか彼は
元気がなかった
心なしか幾分やつれたようにもみえた
なにかあったんだと
直感した

近くの喫茶店で
彼が涙を堪えた口ぶりで
家族が事故で死んだと伝えてきた

目の前で
それを聞いたとき
あたしの目が
宙をさまよった

さらに父親の会社が潰れて
莫大な借金ができたとも
聞かされた

突然不幸のどん底に落ちた彼に
なんて声をかければいいのか
わからなかった

彼が人目をはばからず
涙を流したのは
いまでも眼裏に焼き付いている

あたしにできることは
精一杯やってあげようと思った

しばらくして
彼がホストをやると言い出した
普通の仕事で給料をもらっていたのでは
一生借金は返済できない
ホストでうまく稼げば
なんとかなるだろうと

あたしは
賛成した
上杉なら
絶対Ｎｏ．１になれるよといった