アムスで会った時と、全然変わらないと思うと、自然と笑みがこぼれた。



そんなジュンに近づこうとしたんだけど、それより早くジュンが動いた。

彼は、ようやく落ち着きを取り戻し始めた客席の中へと、近づいて行ったんだ。

でも、私がいる方向とは逆の方へ―――



私も慌てて、その方向を目で追うと、そこにいたのは……


「あんた、日本人やろ?その顔、俺に惚れたんとちゃう?」

「はぁ、何言ってんの。歌は、まぁまぁだけど、喋ると最悪ね。真面目に聞いて損したわ!」



相変わらずふざけた調子のジュンが話しかけた相手は、そう、パリで別れたリリィだったんだ。










「リリィー!ジュンー!!」