やっぱりぼんやりしていた私は、アキに言われるまで、全然気付かなかったんだ。


「レイ、聞こえる?」

「え?」


そう言われて耳をすますと、ようやく、かすかに響く歌声が耳に届いたんだ。


「日本語だ。久々に聞いたな、日本語の歌」


アキは、そんなことをしみじみと言っていた。



けど、歌が聞こえた瞬間、私は思ったんだ。



この声、この歌、もしかして……





「おい、レイ、どうしたんだ?」





突然駆け出した私の後を、アキが追ってきていたけど、私の意識はもう既にその歌声に奪われていたんだ。





だって、この歌声は……