「そろそろ時間も遅いし、戻ろうか?」

「うん」


ピークの時間帯はとっくに過ぎているのか、お客さんもだいぶ少なくなっていた。

酔い潰れてしまった人、まだ陽気に喋り歌う人、状況は様々だけど、みんな一様にお酒を楽しみ満足そうだ。

アキは、お酒はほとんど飲んでないけど、心なしか表情が柔らかくなったような気がする。

私はいつもより飲みすぎて、酔いがほどよく回っていた。

なんだか体がフワフワする。

アキは相変わらず、そんな私を気遣うように歩いてくれる。

そんなアキの隣が、なんだか居心地がよくて、でもドキドキして、私は落ち着かなかったんだ。


「レイ、だいぶ顔赤いけど、大丈夫?」


そう言ってアキに顔を覗き込まれたけど、そんなことされたら、余計に赤くなってしまって、一人慌ててしまった。


「だ、大丈夫!」それだけ言うのがやっとだったけど、アキはそんな私の慌てぶりには構わず、「無理はするなよ」と言って、また前を向いて歩きだした。


なんだか、私、変だ。

アキに出会ってから、ずっとドキドキが止まらない。