そして、テーブルの上には、次々と料理が並べられた。
きっとここの店主は、本当にアキの家族が大好きだったのだろう、と思うんだ。
二人じゃ食べきれないほどの料理を、お隣の気のいいおじさんたちと平らげ、ビールを飲み、楽しいひと時を過ごした。
アキはと言えば、それほどお酒は好きではないのか、ほとんどアルコールには口をつけていなかった。
私はここのアップルワインが美味しくて、二杯ほど飲み干したあと、お隣のおじさんのおすそわけのビールまでご馳走になった。
いつもより、飲み過ぎている気がする。
隣のおじさんたちが帰っていくと、少し静かになり、通り抜ける風が、私の火照った体を心地良く通り抜けて行った。
目の前のアキは、相変わらずの涼しい表情で、でも、どこか街の姿を懐かしむように眺めていた。