自分がこんな風に思えるなんて、思ってもみなかった。
だって私は20歳になるまで、自分の人生を“生きて”いなかったのだから。
私は、握り締めていた写真へと、目を落とした。
この10年、辛い時も悲しい時も、私を励まし支え続けてくれた一枚の写真と、片時も離さず身につけていたネックレス。
写真の中の四人の若者は、希望に溢れた眩しい笑顔をしている。
ヴェネチィアからローマに向かう車内で撮ったものだっただろうか。
ジュン、リリィ、そしてアキ
あの夏、あなたたちが私の人生に命を吹き込んでくれた。
捨てたも同然の命に、新しい火をともしてくれた。
そう、あの遠い夏の日々…