そんなこと、日本で何の夢もなく、ひたすら俯いて生活してたら、一生気づかなかったと思う。

私がつまらないと思ってた日常も、本当はこんな風に刺激的で、エキサイティングなのかもしれない、とすら思えていた。




新しい街、そこに暮らす人々、美味しい食べ物、そして友との出会い―




きっと、こんな風に思えるようになったのは、リリィとジュンのおかげだ。

彼女たちと過ごした数日は、間違いなく、今まで生きてきた中で、一番楽しい日々だ。

その全てが、私のつまらなかった人生に、これまで感じたことのなかった感動を、与えてくれていたんだ。



フランクフルトは、ライン川の支流の一つ、マイン川が中央に流れ、北側に観光スポット、南側に美術館や博物館がずらりと並んでいた。

まずは、一通り観光スポットを見てみようと、私は駅を出て、北側の中心地を目指し歩き始めた。