アムスの中央駅は、今日も賑やかだ。
大きな掲示板を見上げ、自分が乗り込む列車のホームを確認する。
これから目指すのは、ドイツのケルンだ。
「ジュン、わざわざお見送りありがとう」
「何言うてんねん、水臭いわ。俺とレイの仲やろ?」
ジュンが軽くウィンクする。
まったく、どこまで本気なんだか。
でも、彼が言うと、何故か自分が笑顔になることに気付いた。
ジュンは、私を笑わせてくれる天才らしい。
私だけじゃない。
きっと、周りの人みんなを、笑顔に出来るんだと思う。
昨日からのことを暫し思い返していると、不意に腕を引っ張られ、よろめいてしまった。
かと思ったら、そのままジュンの胸に、抱きとめられていた。