結局あの後も、ジュンは自分の夢については、語らなかった。
でも、歌が好きだってのは、十分にわかる。
かだらこそ、気安く夢だなんて言えない気持ちも……少しわかるんだ。
夢を追えば追い求めるほど、その夢と現実の距離に、人は打ちのめされるのかもしれない。
きっと、ジュンにも夢があるんだ。
リリィみたいに口には出さなくても、何か静かだけど熱いスピリットを感じるもの。
それが果たして、歌なのか、そうでないのか、それは私にはわからない。
きっと、彼は彼なりに、たくさん悩んでいるんだと思うんだ。
そんなジュンの姿を見ていたら、みんな未来の自分を求めて、彷徨っているのかもしれないと思った。
何も自分だけじゃないんだ。
みんな、明日が見えなくて、もがいてるのかもしれないって。
でもね、そこで私みたいに俯いてちゃいけないんだって、最近思うんだ。
だって、顔を上げれば、こんなにも毎日は楽しくて、街も人も自然も空も輝いてるんだって、気付いてしまったから―――