すると、しばらく黙ってたジュンが、おもむろに口を開いた。
「レイってなんか夢、ある?」
「え?」
ジュンの唐突な質問に、私は答えることが出来ない。
ジュンはと言えば、あまりお酒は強くはないのかもしれない。
グラス半分ほどで、顔はほんのりと熱を帯びているようだった。
「俺なぁ、自分の夢がわからへんねん……。男のクセにかっこ悪いやろ?」
そう力なく言いながら、ジュンは残りのビールを全部飲み干すと、カウンターへおかわりをもらいに行った。
戻ってきたジュンは、やっぱり、元気がないように感じる。
「ジュンの歌すごいね!」
「ん?」
「私も聴きいちゃったけどさ、歌詞の意味なんかわからない、外国人の人たちまで魅了しちゃって!」
「おおきに」
ジュンには、お世辞に聞こえたみたいだけど、私は本当にそう思ったんだ。
ジュンの歌声は心に響く。
心地よく響くトーン、少し憂いを含んでいて、でも優しくて、それでいて力強い―――