飾り窓を後にしながら、ジュンは、まだどこか行きたい所があるようだ。
「じゃあ、驚かせてしまったお詫びを、せなあかんな。」
「え?いいよ、そんなの」
「まぁまぁ、大したこととちゃうから、ちょっと付き合って」
そう言うと、ジュンはダム広場の方へ戻り、それから少し細い道を進んだ。
そして、小さな教会の前で止ると、その入口の五段ほどの階段で、背中から荷物を下ろした。
ケースを開けると、出てきたのは、やっぱりギターだった。
アコースティックギター、本物をこんなに間近で見るのは、初めてだ。
「ジュン、これ弾けるの?」
「そんな似合わへんかな?」
彼は、そう言って微笑んだけど……
似合わないことなんてない。
ジュンがアコギを構えてる姿は、意外なほど自然で、しかも、ちょっとかっこよかったりもする。
それに、音を奏で始めた瞬間、今までの軽かった印象が一転したんだ。