そうこうしながら連れてこられたのは、中央駅南東の“レッド・ライト・ディストリクト”と呼ばれる地区。
そこには、想像もしなかった世界が広がっていて、思わず目を見開いて、固まってしまった。
「……なに、コレ?」
「この国はな、売春も合法なんやで」
そう言って、ジュンはまた、面白そうに笑ってた。
私たちの目の前には、ピンクや黄色のネオンで飾られた窓の中に、下着姿の女性がズラッと並んでいるのだ。
暗闇の中に、チカチカ眩しいくらいに、卑猥な光を放っている。
窓の中の女性たちは、恥らうわけでもなし、媚びるわけでもなし。
なんだかふてぶてしい感じで、タバコを燻らせながら、客を待っていた。
その姿があまりに堂々としていて、見ているこっちが恥ずかしくなってしまう。
「カーテンのひかれてる所は、お客さんが入ってる、っちゅうこっちゃ。本番込みでだいたい150フローリンくらいやって、激安やろ?」
ジュンが、あっけらかんと言うものだから、思わず黙り込んでしまう。
ようやく出た言葉は
「ジュンも、もしかして……」
私が、女性たちを眺めながら少し後ずさりすると、ジュンは「違う、違う」と言って、私の手首を慌てて掴んだ。