駅に降り立った私は、いつものごとく宿探しから始めた。
でも……
少し歩いて気付いたのが、やたらと多いゲイのカップル。
おそろいのスキンヘッドに刺青、タンクトップ姿のカップル。
男性同士、指を絡め合い、手を繋いで幸せそうに歩くカップル。
そりゃもう、うじゃうじゃいるんで驚いた。
別にゲイが悪いとか、否定するつもりなんて、サラサラない。
むしろ、本気で人を愛せるなんて、羨ましいとさえ思う。
でも、その数の多さと言ったら……
しかも、目のやり場に困るほど、熱烈な抱擁ぶりで、私はそんな街中を、少し早歩きで通り過ぎた。
とても自由な国だと聞いていたけど、これほどとは……
ドキドキする心臓を押さえながら、目当てのユースへと足を進めた。
賑やかだったダム広場を通り過ぎると、落ち着いた町並みが広がっていた。
運河に沿って歩くと、古い家や並木が続く、穏やかな風景が続いている。
水と緑の溢れるこの街の景色は、本当に美しい。
宿が見つかったら、ゴッホが描いたと言う、マヘレのはね橋を見に行こうと思っていたんだ。