「リリィは、全然カッコ悪くなんかないよ」
「ん?」
「私が出会った女の子の中で、一番輝いてる」
私が、真っ直ぐに彼女の目をとらえて言うと、彼女は「だからー」と涙を拭いながら言った。
「あんたが言うと、ただの嫌味だってば!」
そう言って、思いっきり、私に抱きついてきたんだ。
私より10センチほど背の高い、けれどとても細い彼女の腕に、すっぽりと包み込まれてしまった。
そして、彼女は再び泣き出した。
今度は、思いっきり声を上げて―――
その涙は、ゆっくりとパリの夕闇に溶けていったんだ。
ただの自信過剰な女の子だと思ってたリリィは、誰よりも繊細でナイーブなのかもしれないと思った。
それでも、やっぱり彼女は強い。
私は、自分が今まで悲劇のヒロインか何かのように、自分の不幸を悲観して、それに立ち向かおうとはしなかった。
でも、彼女は違う。
いつも、ちゃんと前を向いて、進もうとしてる。
そんな彼女はやっぱり、今まで私が出会ったどの女の子よりも、輝いてて眩しかったんだ。