夕闇に包まれたパリの街は、さらに美しさを増していく。
最後に辿りついたここは、シャンゼリゼ通りの西端に建つ、エトワール凱旋門だ。
コンコルド広場から、大きな一本道、シャンゼリゼ通りを歩いていると、自分がパリにいるのだと言うことを実感させられた。
その通りには、自動車のショールームや航空会社、カフェやレストランが立ち並び、オシャレなパリっ子を眺めているだけでも、飽きることはなかった。
夜になるとライトアップされる凱旋門は、古代ローマから軍事的勝利を称え、建てられた風習に習っていて、どこか勇ましく、そして雄大だ。
上までは、階段でしか登れないのだが、ここまで来て登らないわけにはいかない。
パリの街を散々めぐって疲れた体に鞭を入れつつも、二人で登った。
そこから見える、夜のパリの街並みの美しいこと―――
「この夜景は、女二人で見るものじゃないわね」
隣のリリィは、そんなことを言って、苦笑した。
「悪かったわね、相手が私で」
ちょっとリリィの物言いを真似しながら言うと、二人で目が合って、堪え切れなくなって笑いあった。