リリィにそのことを言おうとすると、彼女は……



「Bonjour.」と、私たちと同い年くらいの二人組の男の子に、話しかけてるところだったんだ。



ちょ、ちょっとー?

リリィ、もしかしてナンパー?!


「レイ、お昼食べよ!」


リリィは、なんてことない様子で、一軒の店に入ろうとしたんだ。


「ちょっとー、私、結構予算キツメだからレストランは厳しいんだけど……」


慌てて言う私に、リリィは、アハハハと声を上げて笑ったんだ。


「大丈夫よ、ここ学食だから」

「学食?」

「そっ!さっきの子たちにチケット買ってもらうようにお願いしたの。そしたら、『二人とも可愛いからいいよ』だって。あんたのことも可愛いだってよ、やるわねー!」


ニヤニヤしながらつつかれて、自分の頬が赤くなってるのに気づき、ちょっとリリィを睨んだけど、彼女はそんなの全く気にするでもなく、席を探していた。

はぁー

リリィの行動力には、驚かされるばかりだ。

フランス語が話せる、っていうのも、かなりな強みだと思うし。

私なんて、英語もたどたどしいもの。