「アキ、キザやな~」

「ジュン、もう、ちゃかさないでよ」


私の横から手紙を覗きこんでいるリリィとジュンは、また二人で大盛り上がりしていた。

私はと言えば、その手紙を持ったまま、十年前までトリップしてしまったようだった。
すぐ隣にアキがいるような……

肩に優しく置かれた掌の温もりに我に返った。

そこにあったのは、紛れもなくあの時と同じ、黄褐色の力強い瞳


「ハル……」


でも、違う。

アキはもういないんだよね。

気付いたら、とめどなく涙が溢れてたんだ。

そっと優しく抱きしめてくれるハルの胸の中で、私は子供のように声をあげて泣いた。





アキの“愛してる”よりも深い愛を感じるんだ。

私を愛してくれたアキ

私が誰より愛したアキ

私もあなたのそばにいたかったよ

ずっと、いつまでも

それを伝えようと思っていたのに……





取り残された思いは、涙になって流れ、ハルの胸へと溶けていった。

ハルは何も言わず、ただ私の頭を撫でてくれてた。

あの頃のアキのように……