「これはレイだよ」
ハルの声に私は思わず顔を上げ、瞳を見つめた。
「これはレイだよ。アキ兄の生きる希望」
もう一度、天使のイラストに目を落とした。
だけど……
この天使が私?
優しく微笑んだ天使は、空を見上げ、軽やかに舞っている。
その姿は元気で、明るくて、希望に満ち溢れてるんだ。
なんとなく落ち込んだ時にこの天使を眺めると、励まされたような気分になってたのに……
まさか、これが私だったなんて……
「めっちゃスゴイやん、このサイト。これ、イギリスで有名なミュージシャンとかアーティストの名前やんか!」
「この人、超有名なサッカー選手じゃない?私でも知ってるわよ」
「あぁ、そうなんだ。著名人もアキ兄の呼びかけに賛同してくれて、ドナーの呼びかけに協力してくれてる。アキ兄が亡くなってからも、このサイトはたくさんの人に支えられて、生き続けてるんだ」
アキ……
「母さんも、息子を二人も亡くしてだいぶ気落ちしてたけど、今はこの石鹸作りなんかでボランティアやチャリティにも参加してて、それが生きがいになってる。アキ兄の想いはたくさんの人の心の中で、今も生き続けてるんだ」