ねぇ、アキ、覚えてるかな?
私が始めてあなたに出会った時、私、聞いたよね?
「アキの目に映る私はちゃんと生きてるか?」って。
あなたの「レイは生きてる」そのたった一言が、私の今までの生きる支えだったんだよ。
「アキ兄は病気と闘い続けた。いろんな治療も試した。でも効果がなくて、最後の望みを骨髄移植に託したんだ。アキ兄の生きたいって思いが天に通じたように、軌跡的にドナーが見つかった」
「じゃあ……」
「移植はしたけど……」
ハルは再び拳を握り締め、必死で涙を堪えていた。
そうだったのか。
アキは、もう……
ハルの姿を見てれば、それが真実であることは明白なのに、私の心は受け入れることができないでいた。
もしかしたら、アキが遅れて、その扉を開け入ってくるのでは……そんな淡い期待を拭い去れないでいたんだ。