「レイ、誕生日おめでとう。こんなものしかないけど」
えっ?
誕生日?
一瞬、頭の中が真っ白になった。
次の瞬間、鳩が一斉に飛び立つ音が耳に届き、ハッと我に返った。
今日って8月24日で……
私の誕生日だ……
そんなのすっかり忘れていた。
いつも夏休み途中の私の誕生日は、誰にも祝ってもらえることなんてなかった。
お父さんでさえ、仕事が忙しくて私の誕生日なんて、いつも忘れてるのに……
「なんで、知ってるの?」
「レイに初めて会った日、パスポート勝手に見たって、言っただろ?」
「そんなの……覚えててくれたの?」
なんだか、嬉しいのと、恥ずかしいのと、驚きと、どうしていいかわからずに、視線を差し出されたアキの手に移した。
すると、アキはその手に握られたコースターを受け取るようにと、こちらに差し出した。
震える手で受け取り、裏返してみる。