その先に待ち受けている言葉を、なんとなく予想できて、耳を塞いでしまいたい気持ちになった。
でも、心のどこかで覚悟していたのかもしれない。
だって、いつかその時は、必ず訪れるのだから……
アキは私のそんな心のうちも全て見通したかのごとく、ゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
「レイ。俺の旅はここで終わりだ」
やっぱり……
なんとなく感じていた予感
ローマでリリィと別れ、マルセイユでジュンと別れ、この時が来ることは心のどこかで覚悟していた。
そして、昨日アキと二人でバルセロナの街を巡りながら、なんとなくだけど、これが最後なのだと感じていたんだ。
「うん」
覚悟はしていたはずなのに……
何も気の利いた言葉が思い浮かばない。
「本当はニースあたりがリミットだったんだけどな」
そう言って、アキは優しい笑顔をこぼしたんだ。