「このサグラダ・ファミリアは百年以上も前に建設が始まったのに、まだ完成まで百年、いやに二百年かかると言われてるんだ」
「二百年……そんなに時が経てば、技術も進歩するだろうし、人の感性も変わってしまうかもしれないよね」
「あぁ。それに、ガウディはほとんど設計図を残してないんだ。内戦で資料や模型もだいぶ焼けたんだって」
「え?なら、どうやって完成させるの?」
「残された数少ない資料を基に、ガウディの意思を継ぐべく、時代ごとの建築家や職人が推測しながら作ってるんだって」
ガウディが没してもなお、建設は続いている。
もちろん、今見学をしているすぐそばでも、工事は着々と続いているのだ。
ガウディの体はなくても、魂だけが今の時代の職人さんに乗り移っているみたいだ。
アキも同じことを考えていたらしい。