「私なんかと違って、もう自分で働いてるんだもんね。本当にスゴイと思う」
「そんなことはないさ。俺もレイたちと変わらないよ」
アキは頭上の様々な彫刻を眺めながら、ゆっくりと先へ進む。
私もその半歩後ろをついて歩いた。
「私はね、アキに出会えたあの日に、自分が生きてるって、初めて実感したんだ」
アキは黙って振り返り私を見ていた。
「なんだかオーバーに聞こえるかもしれないけど、本当にそうなの」
今度は足を止め、静かに私と向き合った。
「それは俺も同じだよ」
「え?」
「あの日、レイに会わなかったら、きっとこんなに生きたいって思わなかった」
「生きたい?」
「あぁ。俺の夢は、生き続けることなんだ」
生き続けること……
なんだか哲学的で難しくて、私にはアキの言いたいことは、わからなかったんだ。
でも、その瞳に映る強い意志だけは伝わってくる。
アキの思いが胸に響いた。