モンジュイックの丘から平和広場、ゴシック地区を通りカタルーニャ広場と散策しながら、あちこちでガウディやピカソにも触れ、ようやく辿り着いた。
見上げた先に見えるのは、ガウディが没してもなお、建築中のサグラダ・ファミリアだ。
ガウディがその生涯を捧げて設計、建築を行った教会
聳え立つその姿は、今まで見たどことも違う、個性的で華麗なものだった。
複雑に入り組んだ建物は、近づくにつれ、その細かく施された彫刻の数々や、緻密に計算されつくしたこだわりに圧倒されるばかりだ。
多くの観光客に混じり、私たちもその内部へと歩みを進めた。
ステンドグラスを通して差し込む日差しが、柔らかな色とりどりの光となって、内部に差し込んでいた。
なんとも心地いい空間がそこには広がっていた。
「ねぇ、アキの夢って……なに?」
「夢か……」
アキはそのまま黙ってしまった。
教会独特の神聖な空気が、ひんやりと肌を纏っている。
この教会は、きっとガウディにとってはまさしく“夢”だったに違いない。
今なお時代を越え受け継がれる夢……