最低だ、私―――

何、リリィに八つ当たりしてんだろ



一人になりたくて、旅に出たのは本当。

でも、今日リリィに出会えて、嬉しかったのも本当だ。

自分でも驚くほど自然に、すんなりとリリィを受け入れていて、戸惑ってさえいる。

でも、さっきの自分の夢を誇らしげに語るリリィが、私には眩しすぎたんだ。





だって私には夢なんてないから……





大学3年生

来年は、多分、就職活動で夏休みなんて無いだろう。

テレビや新聞では“就職戦線超氷河期時代”の文字が躍り、世間は不景気の真っ只中。

私は特にしたい仕事もなく、自分がどうしたいのかも、見えないでいたんだ。