「夢ってさ、そんな簡単に言えちゃうんだ」

「はぁ?」


リリィの表情が歪んだのがわかったけど、私は言葉を止めることが出来なかった。


「いいね、リリィは。そんな自信満々に夢とか語れて」

「あんたあたしに喧嘩売ってんの?」



リリィはちょっと声を荒げて、持っていたグラスをバンとテーブルに叩きつけた。

その怒りがみるみる大きくなっても、私の心はかえって冷静だった。

そんな私の様子も見て、リリィも少し自分を落ち着かせ、私を見ながら言ったんだ。

その視線は、さっきまでとは違い、驚く程冷たかった。





「レイ、あんたって、なんか可哀そうなやつね」

「え?」

「あんた、夢とか目標とか、なんにも無さそうな顔してるもん。それに、そんなにあたしといるのがつまらない?あたしが邪魔なら、ハッキリ言えばいいでしょ!」




そう言うと、リリィは自分が使っていたグラスやらフォークやらを片付けだした。

先に休む、そう言って、彼女はテラスを後にしたんだ。