無事みんなに再会できたことで、緊張の糸がプツリと切れてしまったのだろう。

そういえば、私ったら、アキの顔も見ずに、そのまま意識を失ってしまっていた。

リリィに「さぁ」と促された私だったが、壁に鏡が掛かっているのに気付き、自分の顔を覗き込んだ。

涙で酷い顔だ。

すると横からリリィがそっとハンカチを差し出してくれた。


「大丈夫よ。あんたは泣いても可愛いんだから」


そう言ってとびきりの笑顔でウィンクをしてくれたんだ。



それでも、再び緊張が戻ってくる。

この扉の向こうにアキがいる。

そう思っただけで、胸が高鳴るのがわかる。


早く会いたい気持ち

なんだか照れ臭い気持ち


十年で変わってしまった私を見て、アキはどう思うだろう。

否応無しに緊張が高まる。

リリィが開けたドア向こうへと、私はゆっくり歩みを進めた。