「あぁ、レイなら出来るさ。楽しみだろ?胸を張って再会できるように頑張ろうな」


優しい、でも力強い瞳に私は頷いたけれども……

何故かリリィだけは、いまだ渋い表情だった。

いつもなら、一番に乗ってきそうなのに、彼女の表情は何故だか浮かなかったんだ。

でも、アキがリリィに向かって「大丈夫さ」と一言かけると、ようやく観念したようだ。


「えぇ、いいわ。十年後ね。悪いけど、売れっ子作家は忙しくて、もしかしたらビデオレターになるかもしれないけど、その時は許してよね」


リリィはそう言って、さっきまでの憂鬱な表情を払拭するように、いつもの強気な口調で言い放った。


「おぉ、作家大先生のご登場やな!まぁ期待せんと、待っとくわ」

「もう、あんたは一言余計なのよ」





からくり時計の音色が止んだ後も、私たち四人の笑い声が途絶えることはなかった。

そして、十年後の未来に思いを馳せ、いつまでも語り合っていたんだ。