「なぁ、そのクリスマス、みんなで見に来ーへん?」
「はぁ、あんた何言ってんのよ?」
すぐさま、リリィの突っ込みが入る。
「みんなで?」
私はジュンの言葉を小さく唱えた。
「そうや。また、みんなで、ここに集合すんねん、十年後に!」
十年後……?
「そんなの無理よ。十年後なんて、どこで何やってるかわからないし、みんな仕事で忙しいに決まってるわよ。あんた馬鹿じゃないの?」
「馬鹿とちゃうで。俺、見てみたいんや。アキがみんなに見せたいって言うてくれた景色が。リリィも見てみたない?」
「……そりゃ、見てみたいけど……十年後って……」
そう口ごもったリリィは、チラッとアキと私を見たんだ。
十年後―――
私は、何をしているんだろう?
以前は漠然と想像していた、十年後の私。
平凡な結婚をし、子供を産み、普通の主婦をしている私。
でも、その想像の私に、笑顔はなかった。
それはきっと、私の臨んでいる未来じゃないから……