私の奥にいたはずのジュンは、一直線にリリィの前まで進んだ。

すると、次の瞬間、リリィの体がスッポリとジュンの長身の体に包まれて、見えなくなったんだ。



まるで、映画のワンシーンのようだった。

私はその場面を、ただ呆然と眺めていたんだ。

気付くと、いつの間にか私の隣には、アキが立っていた。

そして、アキは私の手を引くと、リリィたちに背を向け歩き出したんだ。


「アキ……あの二人は?」


私の半歩前を歩くアキの表情は、窺い知ることはできない。

でも、その繋がれた手からは、確かなぬくもりが感じられた。