はるか上空から聞こえてくる音色に、私たちは、思わず天を仰ぎ見た。
それは、私たちだけではない。
その広場に集まっていた市民、ツーリスト、みんなが新市庁舎の天辺を見上げていたのだ。
ジュンと二人、建物に少しずつ近づきながらも、目はそれから離せないでいた。
「なんや~、レイの見たかったもんって、コレのことかぁ」
「え?」
そう、そこにあったのは、大きなからくり時計だ。
音楽に合わせて踊る人形は、等身大はありそうなほど大きい。
「まぁ、ここのコレは有名やからなぁ」
「そう……なんだ?」
「そうやろ?」
ジュンは、不思議そうに私の顔を覗きこんだ。
だって、確かにガイドブックには書いてあった。
でも、まさか、それが17時に動き出すなんて、私は知らなかったんだもの。