ようやくミュンヘンの中央駅に辿り着いたのは、16時半だった。
約束の時間までは、あと30分。
ビールの樽で作ったテーブルが面白いビアスタンドや、他にも気になるものがたくさんある駅だったけど、今は一分一秒も味わってる余裕なんてなかった。
「なぁ、レイ、今晩の宿、どうしようなぁ。おっと、あそこにⅰマーク発見や。空いてるユースないか聞いてみようや」
「えーっと、宿はあとでなんとかするから!とにかく行こう」
「えっ?後でって?何そんなに急いでんねん?」
「いいから、いいから!どうしても見たいものがあるの!」
「ほな荷物置いて……」
私は、ぐずぐずするジュンの腕を引きずるように、中央駅を出発したんだ。