「俺な、どうしても、ここには来ときたかってんなぁ」


澄み切ったベルリンの空に、早朝の光を受けたブランデンブルグ門が、その鮮明な輪郭を映し出している。

頂には、勝利の女神像が、燦爛と煌いていた。



そう、私たちは、ブランデンブルグ門のちょうど真下に立っているんだ。



中学一年の頃だったと思う。

ドイツ統一のニュースを、テレビで見た。

その時は、それがどれだけ歴史的に意味があって、重大なことかなんて、わからなかった。

でも、この門と当時、東西ドイツを分断していた壁の上に、大勢の市民が集まって、喜び泣き叫んでいる姿が印象的だった。

今でこそ東西ドイツ統一の象徴となっている、このブランデンブルグ門は、それ以前からずっと歴史の証人なんだ。

ナポレオン軍のベルリン城入城をはじめとして、数多くの軍隊やデモの行進、祝典の行列を見続けてきた歴史ある建造物だ。