アキは私の方に向き直ると、昨日と同じように、頭にその大きな掌を乗せたんだ。
そして、その瞳で見つめられる。
アキは、ジュンには聞こえないように、小声で囁いた。
「レイ、大丈夫だ。約束しただろ?俺たちは、必ずめぐり合える。必ずだ。ミュンヘンで待ってるから」
私が一つ頷くと、アキは昨晩と同じように、クシャっと髪を撫でた。
涙がこぼれそうなのを堪えて、笑顔を作った。
「じゃあね、アキ。またねー。リリィによろしく!」
そう言って、精一杯の笑顔で、アキに手を振ったんだ。
うん、大丈夫だよ。
私たちは、必ずまた会える。
これは、さよならじゃないんだ。
そう、自分に言い聞かせながら……