翌朝、リリィは飲み過ぎたようで、なかなか起きてはこなかった。
アキとジュンと、三人での朝食になった。
ここからベルリンまでは、かなり距離がある。
ジュンと時刻表を確認し、私たちは、早々に出かけることに決めたんだ。
アキは、未だ起きてこないリリィを待って出発すると言っていた。
見送りは、アキだけだ。
いつも明るいジュンが、心なしか寂しそうな表情をしている。
「アキ、ありがとうな。なんかこんな別れ方……」
ジュンが少し力なく言うのに対して、アキは力強くジュンの背中を押した。
「ジュン、レイのこと頼むな。ベルリンは、すごく面白い街だと思うよ。きっと今と十年後じゃ、まるで違う街だ。今しか見れないベルリンが、きっとあるさ。楽しんでこいよ」
「あぁ」
ジュンは、アキの差し出す手をガッチリと掴み、握手を交わした。