あれから、酔っ払いの二人を担ぐようにして、ユースに戻ってきた。

ここは男女別なので、私は、女子部屋の方にリリィを担ぎ込んだんだ。



もう同室の人たちは、休んでいるようだ。

私は、なるべく物音を立てないように、リリィを二段ベッドの下の段へと寝かせ、彼女のバッグに詰めてあった寝袋を広げ掛けてあげた。

眠っているリリィに、小さく「おやすみ」と声を掛け、上の段へはしごを登ろうとしたところで、不意に声を掛けられ、動きを止めた。


「レイ、ごめんね」


眠っていると思ったリリィから、掠れるほどの小さな声が聞こえた。

はしごを下り、リリィの枕元へと近づいた。

リリィは目を閉じたままだったけど、小さく泣いているようだった。


「レイ、ゴメン。あたし……」


私は、リリィの右の掌をギュッと握り、耳元で囁いたんだ。


「大丈夫だよ、私たちは、また必ず、めぐりあえるよ。必ずね」


私の言葉に小さく頷くと、リリィはそのまま深い眠りへと誘われた。

すぐに寝息が聞こえてきたので、私も自分の寝床へ登り、疲れた体を横たえた。