それがだ、今日国境を越えてから、状況が変わってしまった。



今朝早く、ロンドンで高速バスに乗り込み、パリを目指した。

途中ドーバー海峡を船で渡り、パスポートにはまた一つスタンプが押され、嬉しかったのもつかの間だ。

フランスでは英語がほとんど通じないのだ。

そりゃ、高級なホテルや、それ相当のところだと通じるのだろうが。

私のような貧乏旅行者の行動範囲には、そんなもの含まれていなかいのだから。

でも、当たり前か。

日本人にとって英語が外国語であるのと同様に、フランス人にとっては英語は外国語なのだから。

まぁ、イギリスでさえ、私が使った英語の主なものと言えば「ハロー」「サンキュー」この二つ。

きっと、フランスでも「ボンジュール」と「メルシー」この二つがあればなんとかなるだろう、そんな風に思っていたんだ。



バスから降り立ったら、もう既に夕方近くだった。

まず私がしなきゃいけないこと……それは宿探し。

見つからなければ野宿になってしまう。

ロンドンでは結構すんなり見つかったから、ここでも大丈夫だろうと、高をくくっていた。

しかし、世の中それほど甘くはないらしい。