「舞子は少し自分の魅力に気づいた方がいいってー!宝の持ち腐れだよ??」
「私の魅力なんてないよ!沙羅の方が女子力だって高いし、大人しいから落ち着きがあって、」

話していると誰かから視線が感じた。風華でもない。ほかの人でもない…じゃあ、もしかして…教室のドアを見ると涙を目にいっぱい溜めた沙羅の姿があった。

「さ、沙羅…!どこから聞いてたの?」
唇を噛みしめがら急いで駆け寄る。だが沙羅は今までない形相で私の体を突き飛ばした
「なによ…何よ!!!!私の気持ちも知ったようなふりして何一つ分かってないじゃない!」
溜められていた涙はぽたぽた大粒の涙となり床へ落ちていく。風華や周りの女子や男子はそれを見て笑っている。
「みんな、笑わないでよ!これは私と沙羅の問題よ!私と沙羅のこと…何も知らないくせに変なこと言わないでよ!」

かつて無いこの状況に気分が悪く頭が痛い。
すると普段はあまり発言をしないいたっておとなしい子がぼそっと呟いた。
「舞子がそんなんだから沙羅だって傷つくんじゃないかな…はっきりしてあげなきゃある意味可哀想だと思う…な」
周りからクスクス笑い声が聞こえる。
こんなんじゃない。こんなことを望んでたんじゃない。ただ…ただ楽しく学校生活を送りたかっただけなのに。

『楽しい学校生活?それは自分にとっての楽しい学校生活でしょ?沙羅にとっては、あなたが楽しいって思っていた学校生活はどんな学校生活だったんだろうね』

吐き気と頭痛の中、頭の中で誰かがそう語りかけていた。
あれ、私なにがしたかったんだろう。私にとっての幸せと沙羅にとっての幸せは違う…それなら私は今までずっと沙羅に私にとっての『楽しい生活』を押し付けて来たことになる…。

私は沙羅にしてきた自分への怒りと悲しみに耐えきれず教室を飛び出し校門を抜けひたすら走った。今日は車が多いなぁ…。
ふとそんなことが頭に浮かびいつの間にか意識を失っていた。目が覚めると静まり返った家で一人寝ていた…。