「ごめーんっ!遅くなったぁ。寒かった?」
必死に謝ってくる舞子。そこまで謝らなくてもいいのに、はっきり言ってうざい。

「ううん、全然待ってないよ!そろそろ暗くなっちゃうし帰ろ?」
「沙羅~!ありがとう!うん、帰る!」

何も知らないって幸せそうでいいなぁ
…あれ試してみようかな、ふふふ。

公衆トイレまで距離的にあとちょっと。
よし、ここらへんでいいかな。

「舞子、ごめん!お母さんから急用頼まれちゃった!ほんとごめん!また明日!」

「沙羅大変だね…。お母さん思いで優しいなぁ。うん、わかった!ばいばーいっ」

「ごめんね、ありがと!ばいばい!」
そういった私は戻るふりして隅へ隠れて様子をうかがっていた。
あと、もう少し…あともう少しで!

『トントン…』
誰かに後ろから肩をたたかれた。
不思議に思い振り返るが誰もいない。
なんだよ、今いいとこなんだからっ。
そう思い急いで舞子の姿に目を移し替える。
…あれ?いない。あーあ、もうみのがしちゃったじゃない。作戦失敗…。チッ

ダレダヨジャマシタヤツユルサナイ
「つまんな…もう帰ろ…。」
私は早歩きで家へ戻った。