「俺のこと知ってんだ?
まぁ、どうでもいいや。
……ねぇ紬ちゃん、今までどこにいたの?
探したんだよ?
……ねぇ、帰るよね?」
長い前髪の隙間から見える和成さんの目が怖い。色気はあるかもしれないけど、殺意に溢れている。
私は混乱したまま、首を真横に何回もふった。
腰が抜けて、ペタ座りになった私にお構いなしに和成さんは手を伸ばしてくる。
こわい、こわい……
いやだ、いやだいやだいやだ。
また、翔平さんのもとになんか、戻りたくない。
その時、その手を新が掴んだ。
「……なに?」
「紬サンに、触んじゃねーよ」
「……お前が、匿ってたの?」
「匿う? なんの話……」
新がそういった瞬間、和成さんの重い蹴りが新の鳩尾に入り、新の身体が吹き飛んだ。