「…………」
黙ってしまった私を見て、新ははっとして手を叩いた。
「いやでも……あくまでも、俺の感想!
……ほら、はやくいくぞ、授業遅れちまう」
まだ、全然時間に余裕があるのに、新は私の手をひいて歩出した。
あれから日数もたって、真白くんのおかげもあって、私はある程度歩けるようになった。
まだサポーターは巻いているけど。
「今日の一時間目は……、そうだ、移動教室だったな。
化学室……あ、」
新はなにかを思い出したようで、ピタリと足を止めて振り返った。
「手前の教室……3年生の教室で、例のアイツいるから、まぁなにもないと思うけど……
一応、目立たないようにね……
って、紬サンは騒ぐこととかないか」
でも、一応ねって新は苦笑いした。
アイツっていうのは、初日に千哉がいってた、『敵対しているグループの幹部』の人のことだと思う。
「わかった」
特に目立たないように、そして3年生に目をつけられないように、新にくっついて歩こう。
3年生ってだけでも少し怖いし……?