「じゃあ、頑張れよ」
伊織さんから松葉杖を受け取って、千哉の言葉に頷いた。
「あ、そうだ、千哉。
あのこと、紬ちゃんに言わなくていいの?」
あのこと……?
私には勿論なんのことかさっぱりだけど、頷いてる千哉は心当たりがあるみたいだ。
「……紬、この学校にはヤンキーがいっぱいいる」
「だよね」
見てるだけでそれはすぐ察した。
校舎もなんとなくやばいし、みんなの髪の色とかピアスの数とか……
「……この中に、特に俺らと敵対してるとかで紬に危害を加えるやつはいないと思う。
……一人を除いて」
「一人を除いて?」
私の眉間にシワがよった。
つまり、敵対してる人が一人だけいるってことだよね?
「ソイツがお前に危害を加えるかどうかはわからねぇが、俺らと敵対してる側にいる。
……なんで一人でこの学校通ってんのかわからねぇが。
とりあえず、俺らと一緒にいる紬が一人の時にソイツと遭遇するのは避けてぇ。
最近動きがないとはいえ、でっかいグループの幹部なんだ。
できるだけ、真白とかクラスの信頼できるやつと行動してほしい。」
「……わかった」
「紬ちゃん、そんな不安がらなくても大丈夫。ソイツ、俺と同い年で3年生だし。
余程のことがないと会わないと思うよ」
「そっか。」
なら、あまり気にしなくていいか。、
「でも紬、とりあえずここではさっき言ったように、真白とかと行動しろよ
なにかと、危険なやつばっかだし」
「わかった」
「ん」
ちゃんと返事したからか、私の頭を満足そうに撫でる千哉。
子供扱いで恥ずかしい……
それに、伊織さんの視線が痛い……