◆◇◆
「わー……」
来るの2回目なのに、また声が漏れてしまった。
そう、私は無事特待生扱いを受けることのできる点数をとり、千哉たちの通う学校。
白藤(しろふじ)高校へ通うことが許されたのだ。
「……紬、お前、本当に大丈夫?」
まだ松葉杖を使っているから、千哉は私のバッグを持ってくれている。
「通うって決めたのはなんだかんだ私だし、大丈夫。ありがとう、千哉。」
……大丈夫? とは、
ヤンキーが多いからとか、
この汚い校舎のこととか、
たぶん他にも色々あって、
それ全部あわせての、大丈夫? なんだと思う。
汚いっていうか、落書きがっていうか。
夜露死苦! なんていつ書かれたのコレ。
「お前の教室、三階だってさ」
「あ、そっか」
千哉とか学年違うんだった。
なんかうっかり忘れそうになる。
「真白と同じクラスだから。
クラスでなにか困ったことあったら、真白に言えよ」
「う、うん……」
そう喋りながら、校舎に入ると、下駄箱のところには真白くんと伊織さんの姿が。
「おはよう紬」
相変わらずキレイな顔と声で真白くんが言う。
「紬ちゃんおはよう」
わー、王子様スマイルの伊織さんだ……
「猫かぶり……」
「え、なんか言った? 紬ちゃん。」
あっと思わず心の声が……ってやつ。
「あ? どうしたんだよ伊織と紬。
ま、いっか。ほら、お前の教室いくぞ」
そう言いながら千哉は私の松葉杖を取った。