「……なにしてんだ?」
「「わ!!」」
後ろからいきなり声がして、びっくりしてしまった。
「あ……、なんだ、千哉か。
おかえりなさい、千哉。」
どこに行ってたかは知らないけど、不在だった千哉が戻ってきたようだ。
「……伊織、紬と最近仲良いよな」
「え……!?
いや、俺と紬は別に仲良くないぞ、本当に。
本当に、本当に。」
伊織さんは慌てて私の頭に置いていた手を退かして、精一杯に否定する。
伊織さんテンパりすぎて、何もないのに怪しく見えちゃうからやめてほしい。
「……そうか」
「そうそう!
ところで、千哉は今日どこにいってきたのかな?
わりと朝からいなかったよね?」
もうすでに王子様スマイルを出している伊織さんは、本当に切り替えが早い。
「あぁ、紬のことを高校に手続きしてきた」
「え、私のこと?」
私の手続き?
私、多分というか、絶対千哉たちと同じ高校じゃないけど……
「明日から、紬は俺たちと同じ高校に通うことになった」
「え!?」
「……それは、急だね。
紬ちゃん、転校させたっこと?」
「いや……紬、身分証明が全くないからな……
転校というか、“授業に入り込ませてもらえる”ことになった」
すごい意味がわからないけど、とりあえず、千哉たちと高校に通うってこと?
「……まぁ、大丈夫。
お前頭良さそうだし、特待生とれるだろ?
とらなきゃさすがに学費払わなきゃいけなくなるから、特待とれよ」
「……千哉、紬ちゃん固まってる」