空いたドアの目の前に、四つん這いになって床を拭く私と、それを見下ろす雷神連合の三人。
そのセンターを張る翔平さんは、私の姿を見た瞬間、眉間にシワを寄せた。
「あ、えっと……おかえりなさい……」
とりあえず、挨拶。
というか、それしかできない。
「……なに、この有り様」
私の言葉に返事もしないで、不機嫌そうに私に問いかけた。
「植木が……、倒れて……、誰か踏んだみたいで、」
「んなことはきいてねぇんだよ、
さっさと掃除しろ、このノロマ。」
「ごめ……、んなさい……」
「気分が台無し。
俺の部屋いくぞ、和成(かずなり)、修太(しゅうた)」
「はいはい、」
「……、翔平、あまり怒らんといてや、」
「うぅせぇよ修太」
そして三人はそのまま、翔平さんの自室に向かった。
……、雷神連合の副総長、和成さん。
髪が少し長くて、後ろで結んでる、見た目、とてもチャラい人。
というか、チャラいと思う。
街で和成さんの噂はたくさん聞くもん。
『誰でも頼めば抱いてくれる、
来るもの拒まず、去るもの追わず』
……だからか、ちょっと苦手だ。
目尻にある泣きぼくろが妙に色っぽいし、なんかなにを考えてるのかわからなそうだから。
もう一人の、赤髪のちっちゃい人は、修太さん。
ちっちゃいといっても、きっとあの二人と並んでるからで、私よりは全然高い。
バリバリの関西弁で、少し気さくな感じがする。
そう思って、三人の後ろ姿を見ると、
「……っ!」
まさかの、振り返った修太さんと目があった。
でもそれは睨んでるとかじゃなくて、
あぁそっか、
きっと心配してくれてるんだなぁ……、
修太さんは、きっと、優しい人。
私はそう思って修太さんに一礼すると、そのまま掃除を再開した。